解説文 |
「新時代のメディア・ミックス」を標榜する山陽新聞社が、系列のテレビせとうち本社を統合し、中国地方の新たな中核メディアセンターとして位置づけた本社ビル。新聞社本社となる高層棟を市役所筋に面して建て、岡山のランドマークに相応しく印象的な外観とするとともに、地上から16mかかげ上げてゲートとし、テレビ局・多目的ホールが入る低層棟で囲まれた中庭へと市民をひき込む仕掛けとした。鉄骨をはじめ、用いる素材には時の流れとともに味わいを深めてゆくものを選んだ。外装のタイルはボーダーで段組みし、新聞紙面のイメージを重ねあわせた。奥深い庇は光と影が織り成す豊かな表情をつくり、中庭に設えた森と低層棟屋上の緑化・カスケードから落ちる水音が、この質実剛健にしておおらかな建築に四季の彩を添える。
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