解説文 |
第31回日事連賞会長賞表彰理由:さな切妻屋根のブロックが、敷地全体に集まり、一軒の住まいの場となり、集落のような親しみ易い風景を創りだしています。小さなブロックの内部は、それぞれ独自の外側の庭と関わりを持つことで、住まいを経験してみると広やかな距離の感覚がそこに生み出されています。設計の細部の納まりや素材の選択に対しても、研鑽を積んだ堅実な高い技術力を伺うことができ、感心しました。美しい端正な内部の部屋は、陶芸作家の奥様の工房の離れを含みながら、庭を挟んでネックレスのように結びついています。この独特な小さな部屋を連結する建築構成は、用務への集中と庭への解放という、日々の生活の時間のメリハリや切替えに大きく役立っているのだと思いました。周囲の街にも違和感なく共存し、日本の住宅のつくり方の昔を想わせるもので、敷地全体の広がりに注目し、小さな場所を心を込めて建築化していることにも評価が集まりました。依頼者の思いに応え、なおかつ広い視野で設計された、極めて優れた住宅として日事連会長賞に選定されました。
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