解説文 |
村の空き家となった古民家を再生し、活用しようとする企画である。私たちが昔、一体どんな住まいで生活してきたかを体験してもらい、その魅力を伝え、この村への移住定住促進につなげようとする試みである。丁寧な調査と根気強い技術的な検討に裏付けられた設計であるが、できあがった民家を見ると、それが端々まで美しく、機械設備に依存せずに暮らしがどんなに大らかな場所で営まれ、豊かであったのかを感じさせられる。地味ではあるが、効率や機能性一辺倒になってしまった住まいの文化の原風景を蘇らせ、具体的に体験できる住宅の姿として、<歴史の教訓>を覚醒させる誠実な生きた保存もこれからは大切な設計の仕事となるのであろう。
|