解説文 |
この建築は五島列島の福江の自然豊かな海岸を臨んで建つ小規模な保育園です。この保育園は5.4m(三間)の正方形グリッドによる単位を平面的に縦横3×7列に並べ、短辺方向に切妻屋根を鋸歯状に架けた単純な架構の建物です。内部間仕切りはほとんどない一室空間となっており、切妻天井の集合による優しく楽しい内部空間が保育園児の豊かなアクティビティーを包含する場となっています。けっして上等の仕上げとは言えない、また精緻なディテールをもたない、この単純で素朴な構成の建物は、技術至上主義化して、ソフィストケイトされた現代建築に対して批評性を与え、もうひとつの別の建築の可能性を示すものとして印象深い建物となっています。自然エネルギーの利用も含め、建物と人との豊かな関わりを感じさせる建築として特に評価され日事連会長賞に選定されました。
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