築地市場 事務所棟などコンテンツ概要

[名 称] 東京都中央卸売市場築地市場
[所在地] 東京都中央区築地五丁目二番一号
[設 計] 東京市
[開場年]1935年
[現 況]解体(2018年)

◼️築地市場概要:大正12年9月1日に発生した関東大震災の復興事業の一環として日本橋にあった魚市場と京橋にあった青物市場が移転し、建設されたものである。昭和3年の大川沿埋立から開始し、昭和9年8月に工事を完了。昭和10年の開場と共に貨物線も開業した。

◼️建物と物流動線:市場は大きく弧を描く扇状の建物が特徴的であったが、開場当時この建物に沿って貨物線がひかれ、国鉄の東京市場駅があった。市場内も物流に配慮した設計となっており、鉄道や船によって運ばれた海産物や生鮮品が貨物列車で市場内に運ばれた後、市場内の動線は、貨物駅のホームから隣接した各仲卸売場へ、買い手が決まると保管所、各小売店の配送という海から町へと流れていく動線を考えた設計であった。1トラックの普及や高速道路網の整備により、1984年に駅が廃止。1987年に市場の鉄道輸送が終了、線路も撤去されたが、ホームは閉場までそのまま利用された。浜離宮前踏切などもこの貨物船の名残である。仲卸棟の扇型の屋根には天窓や窓ガラスが使われ、採光に配慮されている。事務所棟の廊下は、柱から梁にかけて美しい曲線を描いている。

◼️築地市場の閉業:開業から80年以上が経過、水産物、青果物を取り扱う市場として都内だけでなく関東近県にも供給する巨大市場であった築地市場も、施設の老朽化が著しく、平成13年に策定した整備計画において、豊洲地区に移転が決まった。

◼️築地市場の建物とその評価:
・ 太平洋戦争を経て残る貴重なモダニズム建築であり、日本におけるモダン・ムーブメントの建築 DOCOMOMO JAPANで 2003年選定
・ 「2017年12月8日 日本イコモス国内委員会第14小委員会(20世紀建築遺産)とISC20cが「日本の20世紀遺産20選」して隅田川橋梁群と築地市場他を含む復興関連施設群 」として選出。

(写真は国会図書館デジタル資料「東京市中央卸売市場築地本場・建築図集 著書:東京市 保護期間満了)」より引用

◼️DAAS 360度VRコンテンツ: 築地市場の閉場、施設の解体が決定したため、解体前の空間を収録すべく2018年に撮影に入りました。収録にあたり東京都中央卸売市場様の多大なご協力を得て普段は入ることが出来ない場所など貴重な空間を多数撮影することができました。VRコンテンツとして編集し公開いたします。(撮影/編集 君塚和香氏)

◼️VR収録場所: 水産物部本館(入口、廊下、屋上、講堂、都事務室など)
/みずほ銀行築地支店(水産物部本館内) /中央築地郵便局(水産物部本館内)/通信棟 /旧時計台通り /地下貯蔵庫/東京都市場衛生検査所 /電話交換室 /仮設構台 /勝ちどき門駐車場屋上 /4号棟高架水槽 /水ろか施設 /青果部本館 階段室など /買荷保管所通路/ B棟/トラックヤード

[参考]貴重な竣工当時の写真資料が国会図書館でもデジタル公開されています。 昭和9年:東京市中央卸売市場築地本場・建築図集(著書:東京市)インターネット公開(保護期間満了)http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1264571

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